森高千里さんの『渡良瀬橋』の歌詞に、「八雲神社」が登場します。
足利には、複数の「八雲神社」があります。
「いったいどこの神社?」と思った方も多いのではないでしょうか。
そこで、「渡良瀬橋」周辺にある5つの「八雲神社」について、森高千里さんの『渡良瀬橋と私』を通して、御案内いたします。
また、当ブログにコメントをくださったY/Kさんに、その他の八雲神社(松田町、小俣町)を教えていただきましたので「5つの八雲神社」に加え、「7つの八雲神社」として追記しました。
さっそくですが、作詞者でもある森高千里さんは、『渡良瀬橋』に登場する「八雲神社」について、以下のようにおっしゃっています。
足利を訪問する前から、この曲のサビには、「神社へお参りに行く」歌詞を付けようと
思っていました。地図帳で神社を調べて八雲神社を見つけました。
歌詞は、八雲神社にしようと決めました。
『渡良瀬橋』が発売されて、たくさんのファンの方から、足利市のどの八雲神社に行かれたんですか? -中略-
私はどこの八雲神社でもよかったのです。
あるいは、みなさんが住んでいる近所の神社で良いのです。
僭越ながら、私は、この最後の2行の言葉に感動しました。
一般に詩歌などの作品は、「虚構と現実が織りなされ、人それぞれの心象に語りかけるもの」なんだと思っているからです。
そんな森高千里さんの想いを感じながら、ここに、「渡良瀬橋」の周辺にある5つの「八雲神社」を御紹介します。
渡良瀬橋の北側を走るJR両毛線の電車です。
♬ 電車に揺られこの街まで あなたは会いに来てくれたわ ♬
ぜひ、お待ちしております。
目次
【渡良瀬橋で見る夕日】
最初にお答えいたします。
『渡良瀬橋』に登場する「八雲神社」は、足利観光協会等において暫定的に足利市緑町の「總社 八雲神社」とされています。
渡良瀬橋から、「總社 八雲神社」へのルート詳細については、
「渡良瀬橋」まで車椅子や徒歩で安全に楽しむルートを画像で紹介を御覧ください。
また、渡良瀬橋の写真集を御用意いたしましたので、『渡良瀬橋』を唄いながら、ぜひ御覧くださいね。
渡良瀬橋写真集「自然いっぱいコーナー」
ということで、渡良瀬橋の西方に位置する八雲神社から、順に御案内しながら、「總社 八雲神社」を中心にお伝えいたします。
【八雲神社】足利市小俣町
(JR小俣駅から:約300m 徒歩:約5分)
* 所要時間:徒歩 4km/時(以下同じ)
小俣町の神社は、〒326-0141 足利市小俣町405番地にあります。
地図は、こちらです。
県道67号線を西に進み「多々羅橋」渡った先の三叉路の真中の道を直進します。
間もなく、右手側の電柱に「長福院」駐車場の看板が見えてきますので、そのまま直進します。
長福寺の山道前を通り過ぎると、間もなくして丁字路を示す路面標示を右折します。
丁字路を右折します。
右折して進むと、左手側に八雲神社があります。
とりいと社殿の間に、趣のある手水鉢があります。
社殿のお隣にある社は、幣殿でしょうか。
ちょっと覗かせてもらうと、中には鮮やかな祭壇が設けられていました。
小俣町の八雲神社には、足利市指定重要文化財(工芸品)の山車(一輛)があるようです。
境内には、標石があるのみで山車に関する情報を得ることは出来ませんが、標石の年月日から足利市文化財一覧から調べることが可能です。
おそらく、山車は立派な祭具殿内に保管されており、足利市公式HPによると、毎年8月15日の小俣祭りで公開されているようです。
【八雲神社】足利市松田町
(JR山前駅から:8.19km 徒歩約120分)
松田町の八雲神社は、〒326-0101 足利市松田町1423-1番地にあります。
地図は、こちらです。
県道219号松田葉鹿線と28松田大月線が合流する丁字路に面して鎮座しています。
県道284松田大月線は、山越えするルートで、「馬打峠」と呼ばれています。
とても小さな社の八雲神社です。
神社前に、足利市生活路線バスの停留所がありました。
停留所名は、八雲神社にちなんだ「天王様前」となっています。
* 天王様:牛頭天王(こずてんのう)を祭り、疫病退散や初夏に被りやすい被害を払いのける。その祭りを「天皇祭」という。
足利生活路線バスの詳細は、松田線時刻表を御覧ください。
【八雲神社】足利市五十部町
(JR足利駅から:3.7km 徒歩:約53分
東武足利市駅から:3.7km 徒歩:約53分)
五十部町の神社は、足利市五十部町130番地にあります。
地図は、こちらです。
五十部町の「八雲神社」は、足利赤十字病院の西方にあります。
県道:桐生岩舟線67号(中央通り)、足利赤十字病院入り口の交差点から、2つ目の交差点を右折すると、左手側にすぐ見えてきます。
交差点を右折すると、すぐ左手側に、八雲神社の鳥居が見えます。
「八雲神社」と記されています。
そして、社殿はコンパクトながら、歴史が感じられます。
参拝すると、社殿のなかに神輿が見えます。
そして、社殿の裏手には、大小の祠もあります。
大きい祠には、「平成八年丙子十月吉日」と刻まれていました。
足利市五十部町「八雲神社」の主祭神は、素盞鳴男命(すさのおのみこと)です。
緑町の「總社 八雲神社」から、分祀により創建されました。
【八雲神社】足利市緑町
(JR足利駅から:2.32km 徒歩:約33分 東武足利市駅から:2.3km 徒歩:約33分)
緑町「八雲神社」は、足利市緑町1丁目3776番地にあります。
正式名は、「足利総鎮守 總社 八雲神社」です。
地図は、こちらです。
「總社 八雲神社」は、足利公園の入り口にあります。
この「總社 八雲神社」が足利市観光協会によって、『渡良瀬橋』の歌詞の「八雲神社」として、暫定的に公式とされています。
丸い石に彫られた男女二体の神像は、どことなく優しさを漂わせています。
この道祖神は、外からやってくる疫病や悪霊など、災いをなすものを遮(さえぎ)るという神力があるそうです。
「總社 八雲神社」の主祭神は、素盞鳴男命(すさのうのみこと)です。
それでは、「總社 八雲神社」についてのお話をします。
筆者の恩師だった故 櫻木宮司さんは、「上宮(緑町)と下宮(通五丁目)の両宮を合わせて八雲神社と言います」と。
拝殿の右隣には、「ずしの天神」が祀られています。
天神様は、寛仁3年(1019)、筑紫の国(現在の九州)に流罪になっていた足利二代家綱が後一条天皇に許され、菅原道真公の霊をこの東国に初めて分祠されました。
家綱が「無地に領地の足利に帰国できたのは、太宰府の天神様のおかげ」と、天神様を厨子に入れて持ち帰り、栄町にまつりました。
台 一雄. 足利の伝説. 岩下書店, 1997, p.39
古図によると、天王と記されている神社が3つあります。
その内の古図右下に、天王と記載されている神社が当時の總社八雲神社で、渡良瀬川の氾濫から逃れるために、福巌寺の南、足利公園入り口に遷座されました。
* 天神様はその後、栄町から緑町(当時、八日町)に移されました。そのころの八雲神社は、もっと東にあって、現在のところに移ったのは、明治10年4月です。
* 図至の天神とも。当時、天神様をまつっていた場所が辻だったので、辻がなまって図至になったとか。
現在では、家綱が厨子に入れて持ち帰ったことから「足利厨子天神」といわれています。
今年も元気に育った藤が紅葉しました。
社殿の左側に、立砂が一つありました。
立砂といえば、京都の上賀茂神社の神山をかたどってもられた二つの立砂が有名です。
八雲神社の立砂は、社殿の改修の折に州土した砂をもられました。
「雨が降るたびに、山の形が自然に形成された」とうかがいました。
足利公園の山道を下ると、すぐ「總社 八雲神社」です。
神社の裏山は足利公園で、「總社 八雲神社」から、遊歩道を上ると、5分ほどで公園駐車場に到達します。
鳥居をくぐり、階段を進むと参拝者のお姉さんがセミの抜け殻を見つけました。
階段の隅にあったセミの抜け殻です。夏ならともかく、まだ3月なのに・・・、
春ゼミの抜け殻でしょう。
筆者も思わず写真を撮りました。
セミの抜け殻は、幸運や生命の象徴とも言われています。
みなさんも、八雲神社で幸運を見つけてみましょうね。
「渡良瀬橋」のプレートも、ずいぶんお馴染みになりましたね。
宮司さん:櫻木先生は、私の指導教官でした。(2021年5月、逝去)
絵馬の渡良瀬橋は、櫻木先生が自らデッサンされたものです。
バレーボールが好きだった先生、日本史を熱く語ってくれましt・・・。
いろいろな想い出を胸に、お守りと御朱印帳をいただきました。
紅葉した御神木
【八雲神社】足利市通五丁目
(JR足利駅から:651m 徒歩:約9分
東武足利市駅から:1.32km 徒歩:約19分)
通5丁目「八雲神社」(旧社格 郷社)は、緑町「總社 八雲神社」の下宮で、足利市通り5丁目2816番地にあります。
平成30年現在、勧請以来1,150年の歴史を誇る神社です。
地図は、こちらです。
織姫交番交差点 のすぐそばにあります。
古図右上の2つの天王の内、左側が現在の通五丁目八雲神社です。
右側の天王は(通四丁目)足利市史によると、明治十三年九月、通二丁目八雲神社に奉遷合祀し、跡地譲渡となる。と、記載されています。(足利市史. 上巻の二. p.1346)
通五丁目八雲神社のシンボルマークは、鳥居の右手側にある大銀杏(イチョウ)です。
「まちなかの趣ある異空間」といった感じがします。
八雲神社の社殿
勧請:貞観10年(868年)・後1~2の記述あり。
拝殿は、大正4年に建築されました、
藤原下野守村雄が疫病を鎮めるため通5丁目と、緑町(總社八雲神社)に午頭天王社、現在の八雲神社を勧請した。
(平成30年・1150年を迎えた。)古くは緑町の八雲神社を男神を祀る午頭天王上社、
当社を女神を祀る午頭天王下社といった。足利市通五丁目 八雲神社 由緒より
通5丁目「八雲神社」は、1150年に(旧郷社・総社)鎮座。
主祭神は、櫛稲田姫命(くしなだひめのみこと)、配神は、素戔鳴男命(すなのおのみこと)です。(とてもわかりやすい、小さな説明プレートがあります)
社殿の後方にある本殿です。
本殿は、天保14年(1843)に再建されています。
本殿をこれほど身近に拝見できる神社は、たいへん珍しいと感じました。
末社として、稲荷神社があります。
<通五丁目 八雲神社:特殊神事と神宝>
《特殊神事:御幣合わせ》
上の宮(總社八雲神社)素戔鳴男命の神輿と、下の宮(当社)櫛稲田姫命の神輿が、「おかち渡り」と称して出会う『御幣合わせ神事』が行われてきました。
『御幣合わせ神事』は、古来「国家安泰・五穀豊穣」を祈念する行事ですが、現在、数十年中断されています。
《通五丁目八雲神社:神宝》
なぎなた(一口) 獅子頭(一対) 神輿(一基)昭和60年(1985)足利市有形文化財指定
【八雲神社】足利市大門通り
(JR足利駅から:683m 四歩:約10分
東武足利市駅から:933km 徒歩:約13分)
大門通り「八雲神社」は、足利市大門通り23番地にあります。
地図は、こちらです。
古図によると、縁切橋と学校(足利学校)の間に記されています。
鑁阿寺の手前にあります。
鑁阿寺大門通りです。この通りを直進すると、突き当たりが、鑁阿寺の入り口「反橋」(太鼓橋)です。
八雲神社へは、丁字路を左折します。
社殿内には、江戸時代後期に製作されたと推定される神輿があります。
普段は非公開となっているため、拝見することはできません。
鳥居くぐると、左手側に奥河内清香(おくこうち きよか)の歌碑が建っています。
碑のおもてには、
詠桜花歌奥 河内清香
囀るや唐にはあらぬ、大倭國のはたてに、咲き匂う桜の下は、たち寄れば老いさえ忘れ、花見れば憂さへ忘る。その花の咲の盛りは、貴人も賤の荒雄も、むら肝の心同じく、酒飲めば酒さえすすみ、歌よめば歌さえ浮かぶ、此処もへば奇しき花ぞ、敷島の大和島根に、匂う桜は。
この歌の見出しに「詠桜花歌」とあるように、咲き盛る桜の花を読んだ長歌です。
そして、碑のうらには、
明治四歳次辛未夏良辰建立
とあり、明治4年建立とありますが、建立の趣旨、建立者は記されていませんでした。
参考:渡良瀬橋の歌碑と鑁阿寺・八雲神社・織姫公園の文学碑を訪ねる散歩道
社殿前の森高千里さんの写真
社殿の前に『渡良瀬橋』の歌詞と、『渡良瀬橋と私』に登場する、森高千里さんの写真が掲示されていました。
大門通り「八雲神社」の主祭神は、素盞鳴男命(すさのうのみこと)と、奇稲田姫命(くしいなだひめのみこと)です。
(神名:古事記、日本書紀により、読み方が異なるようです)
大門通りを鑁阿寺方向に進むと、足利尊氏公の像、も右衛門蔵、足利コミュニティFMスタジオなどがあります。
足利 FM DAMONO(えふえむ だもの)の場所と特色あ?
【八雲神社】足利市田中町
(JR足利駅から:1.63km 徒歩:約23分
東武足利市駅から:440km 徒歩:約6分)
田中町「八雲神社」は、足利市田中町193番地にあります。
地図は、こちらです。
東武足利市駅の南方にあります。
左手側の道路が「中橋通り」です。
東武足利市駅南交差点から、中橋通りの歩道を南に進み、3つ目の丁字路です。
丁字路を右折します。
この道を直進すると、間もなく右手側に、田中町「八雲神社」が見えてきます。
田中町神社は、平安年間に創建されたとの記述があります。
由緒の碑には、たいへんわかりやすい文章で表記されていました。
主祭神は、素盞鳴命(すさのうのみこと)です。(神社検索によると、素盞鳴命の男の文字がありません)
【もう一つの八雲神社とは?】
足利市内には、御案内のとおり、7つの八雲神社があります。
しかし、名前こそは公表されていませんが、もう一つ(8つ目)の八雲神社がありました。
心あるボランティアによって誕生した絵馬です。
8つ目の「八雲神社」については、
足利「長尾弁財天」「出世稲荷神社」「逆藤天満宮」の御案内を御覧ください。
また、よろしかったら
八雲神社と足利18の神社めぐり【まとめ】を合わせて御覧ください。
八雲神社【バリアフリーの視点から】
今回の、神社参拝で関心したことは、特に、通り五丁目「八雲神社」でした。
石段に敷かれたスロープ
こうした、さりげないバリアフリーが、誰にでも優しい、大切な配慮だと感激しました。
こと、神社仏閣に関しては、格式を重んずるばかりか、やたらと難しい言葉の表記が多いように思います。
これからの世代を担う子どもたちに対して、こうした重要な文化財を伝承するためにも、もう少し、簡易な説明文を添えるなどの配慮が、必要ではないかと感じています。
最後まで御覧いただき、ありがとうございました。
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