足利行道山(ぎょうどうさん)は、標高440m、関東の高野山ともいわれています。
また、日光山、筑波山、清澄山(千葉県)と共に、関東の四道場の一つとして、古くから知られています。
行道山は、なんと三万三千の石仏に囲まれた霊山です。
『鬼滅の刃』の炭治郎も、この山々で修行したのかも知れませんね。
そんな山々と浄因寺(じょういんじ)の雰囲気を感じていただき、みなさんも、ぜひお出かけくだされば幸いです。
【行道山:浄因寺と名草の巨石群】
行道山浄因寺は、開基が行基上人(後に大菩薩)、開山が偉仙和尚(後に法徳禅師)と伝えられています。
この偉仙和尚が、名草の山中で修行中、山頂に紫雲がたなびいているのを見て、
行道山に登ったとされています。
行基上人が行道山に草庵を結んだのが、和銅7年、約1,200年前のこととされています。
そして、偉仙和尚が行道山に登ったのは、永和2年とされ、今から600年ほど前ということになるのでしょう。
名草の巨石群から行道山浄因寺までは、尾根道を通ると、約8.9kmです。
山登りが得意でない方のためにも、行道山のふもとから御案内いたします。
近辺のハイキングコースは、危険箇所が少なく、低山ハイキングとも言われています。
しかし、岩場もあり、履き物や服装、水などの携行品、体力・体調の管理を整えるなど、適切な配慮を要します。
私たちの暮らしの中で、自然の息吹と、生命の尊さが感じられる、よい機会となりますように。
名草の巨石群については、
<聖地巡礼>「炭治郎が切った岩?」鬼滅の刃と栃木県足利市を御覧ください。
【行道山:浄因寺までの行程】
行道山浄因寺入り口の階段です。
行道山浄因寺入り口までは、車で行くことができます。
駐車場から浄因寺までは、徒歩約20分ほどで到着します。
<行道山 浄因寺:基本情報>
正式名称 | 行道山 浄因寺 |
---|---|
宗 派 | 臨済宗 妙心寺派 |
御本尊 | 聖観世音菩薩 |
所在地 | 〒326-0068 足利市月谷町1579番地 |
電 話 | 0284-43-3000(足利市観光協会) |
アクセス | 北関東自動車道 足利ICから 約10分 〃 太田桐生ICから 約30分 東北自動車道 佐野藤岡ICから 約40分 JR両毛線足利駅から車で 約20分 東武伊勢崎線足利市駅から車で 約25分 路線バス(行道線)下車 徒歩で 約40分 |
駐車場 | 浄因寺への参道階段下に、普通車 約20台 * 駐車場から浄因寺まで、徒歩 約20分 |
参拝時間 | 自由 |
その他 | 毎年、4月8日直前の日曜日に、「花たつり」が行われます。「厄除け一杯めし」がふるまわれます。 |
*「厄除け一杯めし」:参拝者にお斎(とき)として出される筍御飯のことで、誰にでも、どんな理由があっても一杯と決められています。
一杯めしは、中国の五台山の例にならった行事だそうですが、その起源は明らかではありません。
この一杯めしを食べると、現世での災難を逃れ、死後、極楽へ行けると言い伝えられています。
* 斎(とき):寺などでいう食事のこと。食すべき時の食事の意。
* 五台山:中国山西省五台県の東北にある五つの峰をもつ山。
最高峰は3,400m。四川省の峨眉山、浙江省の天台山とともに中国仏教三霊場の一つ。
<行道山浄因寺:駐車場>
普通車約20台ほどの、駐車場があります。
路線バス御利用の場合は、駐車場の手前の「行道山」バス終点停留所で下車し、駐車場まで徒歩約20分です。
<行道線:行道山バス時刻表>
足利生活路線バス「あしバスアッシー 行道線」
行道山(上り)
停留所名 | 休日のみ | 休日のみ | |||
---|---|---|---|---|---|
行道山 | 6:55 | 9:05 | 9:50 | 15:03 | 16:15 |
JR 足利駅 |
7:19 | 9:26 | 10:13 | 15:24 | 16:36 |
東武 足利市駅 |
7:29 | 9:36 | 10:23 | 15:34 | 16:46 |
行道山(下り)
停留所名 | 休日のみ | |||
---|---|---|---|---|
東武 足利市駅 |
8:15 | 9110 | 14:08 | 19:03 |
JR 足利駅 |
8:25 | 9:20 | 14:18 | 19:15 |
行道山 | 8:45 | 9:45 | 14:43 | 19:30 |
<足利生活路線(行道線):バス旅客運賃>
運賃の種類 | 運用事項 |
---|---|
普通旅客運賃 | 大人(中学生以上):210円 小人(小学生):100円 幼児:無料 |
一日券 | 大人(中学生以上):500円 小人(小学生):250円 幼児:無料 |
回数乗車券 | 販売額:2、000円 券面額:2,200円 |
特別旅客運賃 | いきいきパスポート提示 1回あたり:100円 |
その他 | *運賃前払い。 *一日券、回数券は車内購入可。 (一日券:3回以上利用でお得) *身障者手帳塔保持者、半額。 |
<行道山バス停留所から駐車場まで>
観世音菩薩尊像が鎮座し、この先、三万三千の石仏や石塔の存在を示す石碑です。
バス終点(行道山)から、行道山入り口(駐車場)までは、徒歩:約20分です。
途中、トイレがありますので御利用ください。
公衆トイレから先は、行道山浄因寺の境内になります。
車は、さらに上の駐車場に行けますが、道が狭いので対向車に注意が必要です。
車では感じることができない野鳥の声や、なんといっても、沢を流れる水音は、
心をいやしてくれます。
道のあちこちに、石碑や石仏があります。
のんびり見ながら、坂道を登るのも風情がありますね。
『鬼滅の刃』の炭治郎が切った?名草巨石群にも通ずるハイキングコースの道標です。
<行道山:参道から浄因寺へ>
行道山浄因寺入り口:駐車場
行道山浄因寺までは、0.2KM、名草巨石群までは8.3kmです。
駐車場の奥から、浄因寺に向かう参道とモノレールがあります。
浄因寺山門に向かう参道の脇に、「行道山くものかけはしモノレール」があり、
浄因寺本堂まで続いています。
しかし、残念ですが、かつての台風の影響で、復旧していません。(画像撮影日:2023.2.12現在)
そのため、階段を上り山門に向かいます。
六地蔵尊
階段沿いには、沢の水音を背景に、無数の石仏が鎮座しています。
だんだんと、心が清められていく感覚になってきます。
本来なら、門に掲げられている扁額ですが、台風の影響からでしょうか、門の下に置かれていました。
2023年2月に訪れると、扁額が付けられていました。
山門を通り階段を上ると、眼下に山門の屋根が身近に見ることができます。
以前、山門の下に置かれていた「行道山」の扁額が、輝いて見えたのは、なんとも不思議でした。
二つ目の山門(総門)
【行道山浄因寺:境内】
駐車場付近に立てられた看板です。
行道山浄因寺は、栃木の景勝百選に選ばれています。
栃木県指定 名勝 行道山浄因寺
行道山は今から約1,200年前、和銅年間に行基上人により開かれたと伝えられる。
その後、法徳禅師が禅寺とし、室町時代には、学問の道場として修行僧が多く集い〝関東の高野山〟と呼ばれた。
元和9年(1,623)には、雷火のため堂塔が焼失したが、幕府から寺領20石の朱印をうけ、往時の寺勢をもりかえした。
当時のおもかげは、木版刷りの文献などによって、うかがい知ることができる。
山頂に近い「奥の院」には、寝釈迦(石仏)を中心に多くの石仏(49院)や石塔が周囲をとりまいている。
ここは、行基上人が分骨入定された聖地である。
昭和60年9月 (財)足利市民文化財団
足利市教育委員会
<浄因寺:鐘楼(しょうろう)>
二つ目の山門を過ぎると、間もなく鐘楼が見えてきます。
鐘楼を過ぎると、右手側に庫裡(くり)と本堂があります。
<浄因寺:清心亭>
本堂前の「本堂跡礎石群」の奥に、葛飾北斎の『足利行道山雲のかけ端』として描かれた「清心亭」があります。
清心亭は、巨石の上に建てられた茶室で、古くから文人墨客が多く訪れ有名です。
絵はがき集『足利スケッチ散策』のお求めは、
プロフィールを御覧ください。
<浄因寺:天高橋>
右手側の岩場から、切通しに架かった天高橋(てんこうきょう)です。
天高橋を渡って、清心亭に入室します。
かつて、葛飾北斎が描いた『足利行道山雲のかけ橋』で全国に広く紹介されています。
残念ですが、台風による被災のため、モノレールの運行と清心亭の拝観は、当面の営業が中止されていました。
現在は、通行止めになっています。
清心亭の拝観再会を、楽しみにしましょうね。
<浄因寺:熊野心月堂>
清心亭を後に、本堂跡礎石群から、浄因寺本堂の横にある石段を上ると、熊野社があります。
浄因寺の横の石階段は、狭くて急斜面です。
浄因寺本堂の横の階段を進むと、熊野心月堂(熊野社)があります。
さらに、浄因寺本堂の後方を回り込む道を進むと、平坦な場所に着きます。
熊野社から少し登った平坦地です。
石塔の形状から見ると、浄因寺歴代の僧侶と思われる墓石が安置されているようです。
<行道山:浄因寺から石尊山見晴台へ>
平坦地から、石尊山(せきそんさん)見晴台(0.6km)を目指します。
石尊山の見晴台に向かう途中、名草の巨石群への近道を示す道標がありました。
(鬼滅の刃の炭治郎も、この道を通ったのでしょうか?)
<行道山から石尊山:見晴らし台へ>
見晴台に設置されている方位盤です。
見晴台で休憩した後は、祠をお参りして、今度は、寝釈迦に向かいます。
<行道山:浄因寺 奥の院「寝釈迦」へ>
(浄因寺から尾根に向かうと、この道標があります)
石尊山の見晴台から、道標まで戻りました。
今度は、見晴らし台から反対方向の行道山:浄因寺奥の院「寝釈迦」に向かいます。
寝釈迦に向かう尾根の道です。
途中にあった、展望スポットです。
みなさんは、行道山十勝を御存知でしょうか。
それは、阿吽の滝、母止石、宿竜池、雨請台、不明堂、涅槃台、地蔵嶽、天高橋、清心亭、雷電窟をいいます。
寝釈迦は、このうちの涅槃台に安置されています。
<行道山:奥の院「寝釈迦」>
石仏群(奥の院)
行道山(剣が峰)山頂付近には、石仏群があります。
寝釈迦の上をおおうように枝を伸ばした大きな松は、「天蓋の松」と呼ばれています。
* 天蓋:仏像の頭上にかざす蓋(きぬがさ)のこと。
天空にあって、常に仏の頭上にある。
「奥の院」は、行基上人(後に大菩薩)が分骨入定された聖地です。
岩場
石仏群は、岩場の上に鎮座しています。
あまりにも多い石仏(49院)のため、初めて来られた方は寝釈迦を探すのに、
戸惑ってしまいそうですね。
しかし、それも一つの楽しみとして、みんなで探してみましょう。
長さ65cmほどの小さな寝釈迦です。
右手を枕に西向きに寝ています。
「想像より小さかった」と思われるほど、がっかりする方も多いようです。
しかし、この根釈迦を侮ってはなりません!
私たち地元の言い伝えによると、昔、寝てばかりいらっしゃるお釈迦様を気遣って、
石仏を立てた人がおりました。
また、ある近所の子どもたちが遊びで、お釈迦様を立てたこともありました。
その結果は、いずれも悲惨な災いを被ってしまったとのことです。
このように、多くの寝釈迦伝説は、今でも、現実の話として、伝えられているのです。
でも、見るからに、かわいらしい寝釈迦ですよね。
ある日、突然、連れ去られたこともあったくらいです。
ていねいにお参りして、奥の院から再び、浄因寺に戻ります。
沢の水音を聞きながら、参道を下りました。
最後まで御覧いただき、ありがとうございました。
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こちらこそ、よろしくお願いいたします。
プログさん、ありがとうございます。また、よろしくお願いいたします。
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