夏の食卓に登場する「モロヘイヤ」
暑い日が続いても、モロヘイヤを食べると、元気になるのはなぜでしょうか。
なるほど、モロヘイヤの花言葉は、「体力回復」だったんですね。
今回は、夏の食卓にぜひ加えたいモロヘイヤの育て方について解説します。
庭やベランダで、気軽に栽培できますよ。
子どもたちといっしょに、38年間、自然観察
農園芸などの環境教育活動に携わってきました。
本稿では農家の知識と技術を家庭菜園向きに応用し基本的な「野菜の育て方」についてお伝えします。
【クイズ】 「王様の野菜」といわれるモロヘイヤの主な栄養価は、ホウレンソウと比べて約何倍でしょう?
- 同じ
- 1.5倍
- 2倍
* 正解は、最後のページを御覧ください。
目次
【モロヘイヤの育て方】
<モロヘイヤの種>
<野菜名:モロヘイヤ 株式会社 アタリヤ農園>
注目の栄養野菜
丈夫で簡単に作れて美味、健康野菜
発芽適温 | 25℃~35℃ |
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発芽日数 | 4日~7日 |
収穫日数 | 70日~80日 |
生産地 | フィリピン |
注意事項 | 実(種)・茎・花は有害 |
<野菜名:モロヘイヤ 株式会社 サカタのタネ>
☆ 手軽に作れるスタミナ夏野菜 ☆
- [品種名]:モロヘイア 美咲シリーズ® 923083 サカタのタネ
- [科・属名]:シナノキ科 ツナソ属
- [原産地] :中近東、アフリカ北部
エジプトなどで古くから作られている1年草で、次々に出てくる若い葉を摘んで、利用します。
ねばりがあり、ビタミン・カリウム・カルシウムなどミネラルを豊富に含んだ栄養やさいです。
まき時:あたたかい地域 | 2~6月 |
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:寒い地域 | 5~6月 |
収穫の目安 * 注意:花・実・種子・茎には毒性がありますので食べないでください。 |
草丈が40~50cmになったら収穫できます。わき芽の元に、2~3枚以上残して目先のやわらかい葉を10~20cm摘みとります。 |
数量 | 0.8ml |
発芽率 | 80%以上 |
採苗本数(間引き前) | およそ:140本 |
発芽までの日数 | 3~5日 |
発芽温度(地温) | 25~30℃ |
生育適温 | 25~30℃ |
<野菜名:モロヘイヤ 株式会社 トーホク>
✩ ミネラル豊富な健康野菜 ✩
- [品種名]:モロヘイア(品種名なし:在来種)
- [品種番号]:02471 トーホクのたね
- [生産地]:エジプト
まき時:冷涼地 | 5月中旬~6月上旬 |
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:中間地 | 5月~7月上旬 |
:暖地 | 4月下旬~7月上旬 |
収穫の目安 * 注意:花・実・種子・茎には毒性がありますので食べないでください。 |
伸長した葉先を摘み取り利用します。
わき芽が次々と出ますのでやわらかいうちに摘み取り収穫します。 |
数量 | 28ml |
発芽率 | 75%以上 |
発芽温度(地温) | 20~30℃ |
生育適温 | 20~30℃ |
<モロヘイヤの種の前処理>
種をまく3時間前に、種を活力液(HB-101)に浸します。
希釈:千倍~十万倍(1ℓの水に、1~2滴。
私は、活力剤と言わない理由は、以下のとおりです。
HB-101は、杉、檜、オオバコの抽出液100%であり、それ以外の原材料が一切使わず、化学処理もしていない天然の成分だからです。
✩ 森林浴をしているようないい香り ✩
しかし、種を液につけるデメリットは、種が濡れてしまうため、種をまく際、小さい種の場合は、種が指にくっつき、まきにくくなることです。
そんなデメリットもありますが、私は30数年、HB-101を野菜栽培やガーデニングのあらゆる場面において活用しています。
● 種、根、挿木をうすめた液につけます。
分類 | 種、根、挿木を浸ける時間 |
---|---|
豆類 | 10秒 |
葉菜類 | 3時間 |
花、果菜類 | 12時間 |
米の種もみ | 12時間以上 |
根、挿木 | 1分~12時間 |
球根類、種いも | 1分~30分 |
最初は、ネーミングからして、なんだか化学薬品のように思えましたが、天然100%でした。
また、分量に対して値段が高く感じられましたが、とにかく植物がとても元気になることはもとより、希釈倍率が高いことからも、たいへんお得です。
<モロヘイヤの種まき>
種まきは、ポット(3号)に、1~3粒の種をまく方法と、箱に、ばらまきする方法があります。
種にかける土は、種がかくれるくらいうすくしましょう。
かけ過ぎると、発芽率が低下します。
<モロヘイヤの発芽>
先日まいたモロヘイヤが発芽しました。
私は毎年、箱まきにして、苗がある程度育ったら、2~4本ずつ、苗箱からすくいとる感覚で、直接定植しています。
モロヘイヤの発芽には、充分な温度が必要です。
種を早くまいてしまうと、発芽しなかったり、発芽が不揃いになったりします。
気温が十分に高くなるまで待ってからまくと安全です。
<モロヘイヤの鉢上げ>
天候の影響で、発芽が少なかった場合は、1本ずつポットに移植して育苗しましょう。
また、苗が多い場合は、1ポットに数本植えても差し支えありません。
そして、苗がポット内で落ち着いた数日後、1ポットに対して玉肥(パチンコ玉程度)を2~3粒、ポットの縁に沿って埋め込んでおくと丈夫な苗に育ちます。
<モロヘイヤ:定植場所の準備>
定植前のモロヘイヤ
モロヘイヤは、連作障害が発生しません。
そして、モロヘイヤは、たいへん強健な野菜です。
特に、都会における、限られたスペースでの栽培にも、最適な野菜と言えるでしょう。
(なお、肥料などの基礎資料は、こちらを御覧ください。)
⑴ 土壌
酸性土壌に、やや弱い傾向があります。
定植2週間前に、苦土石灰を1㎡あたり、2~3振り(約100~150g)施し、耕します。
⑵ 輪作
前述したように、連作障害はありません。
したがって、どこに定植しても元気に育ちます。
⑶ 肥料
定植前に、畝の中央に深さ20~30cmの溝を掘ります。
そこに、1㎡あたり2~5kgの堆肥と、軽く2振り(80g)の有機配合肥料を施し、埋め戻します。
あるいは、同量の肥料を前面散布し、耕す方法でもいいでしょう。
肥料の施し方は、前述のように、前面施肥と、ピンポイント施肥の2種類があります。
野菜の特性によって、使い分けると効果的です。
スイカやカボチャのように、つるを長く這わせる野菜は、前面施肥よりも、ピンポイント施肥がおすすめです。
ピンポイント施肥は、株の周辺や、後に根が到達するポイントを掘り、予め、集中して肥料を埋め込んでおく方法です。
全面散布に比べ、肥料が無駄にならず、施肥後、日数が経過しても肥効が保たれ、野菜の成長が促進されます。
しかし、未熟の堆肥だったり、根に直接肥料がかかったりすると根やけの原因になりますので注意しましょうね。
⑷ 畝(うね)づくり
畝幅90cm、高さ10cm、株間30~40cm 2条植えの場合は、条間30~40cm程度とします。
条間に、溝を掘り施肥する場合は、前項を御覧ください。
<モロヘイヤの定植>
モロヘイヤは、日当たりをたいへん好みます。
各株に、十分な光が当たるようにするため、互い違いに植え穴を掘ります。
次に、植え穴に液体肥料とHB-101を混合した水溶液(約500~1,000倍)を目いっぱい注ぎ入れます。
そして、苗箱から定植する場合も、できるだけ根に多くの土をつけたまま、2~4本ずつ、苗箱から掘り起し、植えていきます。
また、ポット苗の場合は、苗をポットから出す前に水やりしておくと根鉢が崩れにくくなります。
定植した翌朝の様子です。
葉もしっかり展開し、モロヘイヤの強健さが感じられます。
<モロヘイヤ:定植後の管理>
<土寄せ>
モロヘイヤは、根の張りが良好です。
必要に応じて、株元に土寄せします。
梅雨時の雨によって、畝が平らになってきたら、畝閒に落ちた土を株元に寄せる感覚で土寄せをします。
土寄せによって、水はけ、肥効性が高まります。
モロヘイヤの生長にともない、風の強い地域では、支柱を立てて倒状を防ぐ必要があります。
また、乾燥を防ぐために、敷きわらを施すと効果的です。
しかし、わらが入手できなければ、株元に、堆肥をまいて対応します。(土にすき込まず、堆肥を広げて地表に被せる感覚で)
<施肥>
定植後、3週間目から、半月に1回の割合で、有機化成肥料など、生育状況をみて与えます。
<摘芯>
高さが40cmになったころ、枝先を摘芯します。
摘心すると、側枝が次々に発生してきます。
株の中央から大きく伸びた枝先を摘心します。
モロヘイヤは、枝先の茎をつまんで横に曲げると、簡単に折れる部分があります。
何度か試すうちに、摘心する枝先の位置が分かってきます。
中央より伸びた大きな葉をつけた枝先を摘心します。
なお、中央の枝先が充分に育っていないと、茎を折り曲げても簡単には折れません。
そのような株は摘心を遅らせて、枝先の茎や葉が充分に育ってから行うとよいでしょう。
モロヘイヤは、どんどん高く伸びようとします。
草丈が伸び過ぎると、先端に付く葉は、次第に小さくなります。
できるだけ、草丈を抑え気味に栽培するとよいでしょう。
<摘心後>
伸長した葉先をそのまま放置してしまうと、側枝の発生が少なく、結果として収穫量が減ってしまいます。
大きく育った枝先を摘心すると。ウネ全体の草丈が揃い、次々に突出してくる大きな枝先を順次摘心・収穫していきましょう。
上の画像では、日当たりの良い南側(左)、中央、北側(右)の生育の違いが御覧いただけるように、日当たりを好む野菜の特徴が顕著に現れています。
1回目の摘心を終えた後、数日で側枝を伸ばし、新しい葉が展開してきます。
1株から5~6本の脇芽が伸び、先端の葉が大きく展開してきました。
新しい葉が適度に大きく育ったら、2回目、3回目・・・と収穫していくと、どんどん株全体が大きくなり、収穫量も増加します。
<収穫>
草丈が40~50cmになったら、花が咲くまで、枝先を摘み取って、つぎつぎに収穫します。
1回目の収穫の後、2回目の収穫をしました。
上の画像は、1つの袋に40~50本の葉(新梢)が入っていますから、苗の数は35株なので、2回目の収穫では、1株から4~5本の脇芽が出てきたことになります。
このように、収穫を続けていくと収穫量は、ネズミ算的に増えていきます。
なお、前述したように、枝先はつまんでひねると、簡単に折れる部分で摘心しましょう。
だんだん株が大きくなってきました。
硬い枝や花、果実、莢、種には、強心作用のあるストロファンチジンが含まれており有害です。
モロヘイヤは、短日性植物で、日が短くなる秋に花が咲きます。
この頃になると、葉が小さくなってしまいますので、収穫を終了します。
<株元への土寄せ>
収穫を続けながら追肥をした後、株元に土寄せすると肥効性が増し、新梢(しんしょう)の発育が促進されます。(モロヘイヤに限らず、ほとんどの野菜栽培に共通する大切な「中耕・施肥・土寄せ」作業です)
<病虫害>
病気は、ほとんど発生しませんが。アザミウマやマメコガネが葉を食害します。
木酢液(原液)を希釈し、散布し対応します。
私が、モロヘイヤを初めて栽培したころは、葉も全く食害されませんでした。(何年前?)
このモロヘイヤが、一般に栽培されるようになったのは、1980年代と言われています。
どうやら、日本の「はらぺこアオムシ」たちは、モロヘイヤの味を知らなかったのでしょう。
<収穫後の管理>
枝先の葉を収穫した後、次は側枝が伸長し、真夏の日光をいっぱいに浴びて、葉を大きく開きます。
こうして、収穫を繰り返していくわけですが、それぞれの株によって、成長が異なる場合もあり、中には、元気過ぎて背丈が突出する株があります。
(上の写真では、右側の手前の株が盛り上がっていますね)
背丈が高くなると、枝先に付く葉が、だんだん小さくなってきます。
そんな時は、周囲の株の高さに合わせ、背の高くなった株を切り戻すとよいでしょう。
モロヘイヤは、背丈を抑え気味に栽培すると、枝先の葉が大きく展開してくれます。
ただし、気温が低くなってからの切り戻しは、株を衰弱させてしまいますので、真夏に行うようにしましょう。
枝先の葉を摘みとりました。
収穫できた枝先の数は約350本で、浅型のカート1箱分です。
収穫後は、突出している枝先を切り戻し、速効性の肥料を施しておきましょう。
35℃の残暑が続く年は、まだまだ収穫ができますが、草丈も150cm以上になり、先端の葉も次第に小さくなっていきます。
そのため、農家によっては8月中旬に先端を切り戻し、草丈を調節する場合もあります。
9月になると、枝先を摘みとった後の脇芽の展開がだんだんと遅くなり、葉も小さくなってきます。
枝先のようすを見ると、花を咲かせる準備を始めたようです。
9月の気温低下のため、切り戻し剪定を行っても、8月に収穫できた大きな葉は展開してきません。
これからは、剪定して株を衰弱させてしまうより、葉だけ摘みとるなどして、少しでも長く収穫していきましょう。
モロヘイヤの苗を等間隔で定植すると、直まき(間引き栽培)に比べて、株元が整然としているため、収穫後の後片付けが容易になります。
正解:2倍
* β-カロテン、ビタミンB2は、ホウレンソウの2倍、
カルシウムは、5倍です。
最後まで御覧いただき、ありがとうございました。
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