栽培・飼育活動

家庭菜園 初心者おすすめ!「サヤエンドウ」の育て方

収穫したサヤエンドウの写真です。

家庭菜園のアンカー役を務めるサヤエンドウの種まきは、10月下旬~11月になってから行います。

早まきしてしまうと、苗が大きく育ち過ぎて、冷害の影響を受けやすくなってしまいます。

そこで、初めてサヤエンドウを栽培する方や、家庭菜園の中級者の方に、栽培のポイントを
お伝えします。

筆者紹介・家庭菜園クイズ

子どもたちといっしょに、38年間、自然観察や農園芸などの環境教育活動に携わってきました。

また、自宅では、農家の知識と技術を家庭菜園向きに応用しながら野菜を育てています。

【クイズ】種まき後に土を厚くかけてはいけない野菜はどれでしょう ?

  • ● トウモロコシ
    ● ダイコン
    ● ホウレンソウ
    ● レタス
  • * 正解は最後のページを御覧ください。

【サヤエンドウの育て方:基本情報】

<赤花つるあり絹さやエンドウ>

サヤエンドウの種のパッケージの写真です。サヤエンドウの種のパッケージ

10月下旬に、種まきします。

赤花のつるあり品種です。

[品種名] :絹小町 美咲®シリーズ 927272

サカタのタネ

  • [科・属名]:マメ科 エンドウ属
    [原産地] :中央アジア~中近東
    [生産地] :北海道

特 徴
生育旺盛で、草竹180~200cmにも達し、寒さにも強いので収穫期間が長いのが特徴です。

赤花で、莢(さや)の色がよく、とてもおいしいエンドウです。

まき時:暖かい地域 10~11月
  :寒い地域 3~4月 7月
収穫の目安 莢が大きくなって中のマメが少しふくらんだころが収穫適期です。

長さ7.5cm、幅1.4cmぐらいが目安です。

若どりするとたくさん収穫することができます。

数量 20ml
発芽率 80%以上
発芽での日数 4~6日
発芽適温(地温) 20℃前後
生育適温 15℃前後
採苗本数
(網引き前)
およそ40本

<早生エンドウ:赤花絹さや>

sサヤエンドウの種袋の写真です。赤花絹さやエンドウ

10月~11月に、種まきします。

赤花のつるあり品種です。

[品種名・番号] :早生あさか 06391

トーホク育成 ✩ 越冬性に富み、早くからなるつるあり種

[生産地] :アメリカ

特 性

寒さに対して極めて強く、越冬性の高い品種で、冬の寒さの厳しい地域に適します。春先の生育は旺盛で、8㎝位のやわらかくおいしい莢で、秀品率も高い絹さやです。

 

まき時:冷涼地
北海道
10~11月上旬
4月~6月上旬
   :中間地 10~12月上旬
  :暖地
管理~収穫 生育に合わせて2m位の支柱を立て、つるをからませます。莢が成り始めたら1㎡当たり化成肥料30gを数回施します。
数量 30ml
発芽率 80%以上
発芽適温(地温) 15~20℃
生育適温

<あまいスナップえんどう>

スナップえんどうの種袋の写真です。あまいスナップえんどう

秋まきは、10月~11月に種まきします。

つるあり品種です。

[品種名・番号] :SHA-1450 06380

トーホク育成 ✩ あまくておいしい、さやごと食べられる

[生産地] :アメリカ

特 性

甘く歯ざわりの良い莢と実の両方を食べるスナップエンドウ。

肉厚で甘みががつよくやわらかい。2m位につるが伸び、早くからとれだし、収穫の上がるタイプです。

まき時:冷涼地 10~11月上旬
3月中旬~6月上旬
   :中間地 10~11月中旬
3月中旬~4月
  :暖地 10~12月上旬
管理~収穫 生育に合わせて2m位の支柱を立て、つるをからませます。莢が成り始めたら1㎡当たり化成肥料50gを数回施します。
数量 30ml
発芽率 80%以上
発芽適温(地温) 15~20℃
生育適温

* スナップとスナックの違い:スナップは総称名(農林水産省)で、
スナックは商標名です。

<つるありスナック>

つるありスナックエンドウの種袋の写真です。つるありスナックエンドウのパッケージ

白花のつるありスナックエンドウです。

< 2022年10月から栽培開始します >

[品種名] :スナック 美咲®シリーズ 927170

サカタのタネ

  • [科・属名]:マメ科 エンドウ属
    [原産地] :中央アジア~中近東
    [生産地] :アメリカ

特 徴
実を丸々と太らせて莢ごと食べるエンドウです。

草丈は2m前後で、立ち枯れ病に強く、的婦姓が広いため、たくさん収穫できます。

肉厚でやわらかく、甘みと風味があります。

まき時:暖かい地域 10~2月
  :寒い地域 4~5月
収穫の目安 莢が丸々と太り、さわやかな緑色のころが収穫適期です。

長さ7.5cm幅1.7cmぐらいが目安です。

とりたては風味がよく、とちもおいしく食べられます。

数量 20ml
発芽率 80%以上
発芽での日数 4~6日
発芽適温(地温) 20℃前後
生育適温 15℃前後
採苗本数
(網引き前)
おろそ45本

【サヤエンドウの育て方:栽培場所の選定】

土筆は選びませんが、酸性土では生育が悪くなります。

また、連作を嫌う代表的な野菜です。

1度栽培した場所は、3~5年間は避けましょう。

<栽培場所の準備>

石灰と元肥を施す[1㎡あたり]

種まき2週間前
 苦土石灰:120g(約2.5振り)

種まき1週間前
 堆肥:2kg 有機配合肥料:80g(かるく2振り)

* 全面に散布し、よく耕します。

肥料などの詳細は、
渡良瀬橋ブログ「資料集」自然いっぱいコーナー!
2 【農園芸資料】を御覧ください。

【サヤエンドウの育て方:種まき】

スナップエンドウの種の写真です。スナップエンドウの種:30ml

サヤエンドウの種30mlは、もちろん品種にもよりますが、約100粒~130粒ほどですので、種をまく際の参考にしてくださいね。

なお、種まきは早すぎると、育ちすぎて寒害をうけ易くなります。

反対に、遅すぎると、草丈も低くなり収穫も少なくなります。

● サヤエンドウは、マメ科植物です。

 チッソ過多にならないよう、注意しましょう。
(リン酸とカリを重点に、元肥として施します)● よほどのやせ土や、砂地ではなく、 肥沃な場所であれば、無肥料でもよく育ちます。  

<種をまく位置を決める>

絹さやエンドウ・・・ウネ幅90~100cm、株間20~30cm

スナックエンドウ・・ウネ幅90~100cm、株間30cmの間隔で、種をまきます。

サヤエンドウは、今シーズン最後の作付けです。

さすがに、栽培スペースが無くなってしまいました。

しかたなく、狭いスペースですが種をまきました。

種まき作業の写真です。種まき作業(2022.11.4)

ウネの中央に、20~30cm間隔で、スタンプ(木片を種の約3倍の深さ)します。

スタンプした種のまき溝(写真の場合は円形)に、3~5粒ずつ種をまきます。

全部のまき溝に種をまいたら、種に土をかけます。

記事内の西暦を付していない月日のみの画像は、昨年度(2021年)のものです。

今年度の生育のようすと比較しながら、御覧ください。

土の表面を板で押さえている写真です。
土の表面を板で押さえる(11月4日)
種にかけた土の表面を、板でかるく押さえます。

こうすることで、まいた種と周囲の土が密着し、乾燥に耐え、発芽も均一になります。

この作業は、転圧(てんあつ)作業といいます。

農家は、クワの背を押しつけて行っています。

あらかじめ立てた支柱の写真です。あらかじめ立てた支柱

支柱は、来春、サヤエンドウのツルが、伸びる前に立てても十分間に合います。

御覧のとおり、「シュンギク」と「かき菜」の、狭いスペースに植えたため、
目印の代わりに、大まかに支柱を立てました。

寒冷地では、苗が霜の被害を受けないように、株元に、竹の笹を立てて予防します。

発芽したサヤエンドウの写真です。発芽したサヤエンドウ(11月22日)

サヤエンドウが発芽しました。

霜の害を受けないように、種を11月にまきましたね。

草丈を大きくさせないことが、ポイントです。

発芽したサヤエンドウの写真です。発芽したサヤエンドウ(2022.11.25)

 

サヤエンドウの写真です。サヤエンドウ:2023.11.29

 

スナップえんどうの写真です。スナップえんどう:2023.11.29

昨年(2022)よりも、生長が早いようですが、このくらいなら冷害にも耐えられそうです。

サヤエンドウの芽の写真です。サヤエンドウの芽(2022.12.16)

少しずつ大きくなってきました。

【サヤエンドウの育て方:土寄せ】

土寄せしたサヤエンドウの写真です。土寄せしたサヤエンドウ(2022.12.16)

サヤエンドウの根元が揺れるほど、強い風が吹く季節になりました。

除草と中耕をかねて、根元にかるく土寄せをしましょう。

越冬中のサヤエンドウの写真です。越冬中のサヤエンドウ(2023.1.20)

土寄せでも十分ですが、近所の蕎麦屋さんからいただいたソバガラを株元にまきました。

モミガラやワラなどでマルチングしてもいいでしょう。

マルチングによって、土の表面がかたくなるのを防いだり、強風による苗痛みを防ぐことができます。

マルチングの代わりに、堆肥をまくと、ツルボケの原因になる場合がありますので、
施肥量に注意を要します。(マメ科の過繁茂に注意!)

1月のサヤエンドウの写真です。1月のサヤエンドウ(2024.1.1)

種まき後の気温が高く、例年より苗の生長が早いようです。

冷害を防ぐために、近所のお蕎麦やさんからいただいたソバガラを株元に敷きました。

寒冷地では、笹竹を立てて霜よけをすることもあります。

1月のスナップエンドウの写真です。1月のスナップエンドウ(2024.1.1)

【サヤエンドウの育て方:3月中旬】

サヤエンドウの写真です。暖かくなり、活発な生長が始まったサヤエンドウ

 

誘因された「サヤエンドウ」の写真です。
ツルを外側から囲いながら、支柱方向へ誘因しました。

* 野菜へのちょっとした思いやりが、収穫に大きな変化をもたらします。

サヤエンドウの近くに、支柱が立ててありますが、うまく、からみつけないようです。

この時期のサヤエンドウは、ちょっと手伝ってやらないと、上に伸びていくのがたいへんなようです。

そこで、ジュートひもなどで、支柱に誘因してあげると、どんどん上にツルを延ばしていきます。

サヤエンドウの育て方:誘引前のサヤエンドウの写真です。誘引前のサヤエンドウ

ツル姓の植物は、
支柱を手がかりに、成長を促進させます。

(昔の農家は、支柱を立てることを「手をくれる」なんて言ってましたよ)

サヤエンドウの育て方:誘引後のサヤエンドウの写真です。誘引後のサヤエンドウ

春野菜の準備の前に、この誘引作業をやっておきましょう。
(* ジュートひもや麻ひもは、ビニール製と異なり、 庭に残っても、自然に分解されるので安心です)

【サヤエンドウの育て方:3月下旬】

サヤエンドウと支柱の写真です・サヤエンドウと支柱:2023.3.22

 

サヤエンドウの写真です。ツルが伸びてきたサヤエンドウ(3月30日)

ツルの先を安定させてやると、安心して上に伸びようとします。

1回目のツルの誘因を終えると、写真のようにツルがどんどん外側に広がって伸びてきます。

そこで、今度は2回目の誘因をします。

ジュートひもをいちばん端っこの支柱にしばり、外に広がろうとしているツルの外側から一周まわして、支柱に寄せて固定します。

今後、ツルの成長に合わせて、この作業を繰りかえしましょう。

【サヤエンドウの育て方:4月上旬】

サヤエンドウの花の写真です。サヤエンドウ「絹さや」の開花(4月6日)

 

サヤエンドウの花の写真です。サヤエンドウの花

かわいい花が、たくさん咲きました。

スイトピーが連想されますね。

スイトピーは同じマメ科ですが別種で、なんと毒があります。(サヤエンドウには、もちろん毒はありません)

そして、和名(ジャコウエンドウ)が示すとおり、とてもいい香りがします。

サヤエンドウを誘引したところの写真です。サヤエンドウの誘引

 

生長するサヤエンドウの写真です。生長するサヤエンドウ

 

支柱に寄せられたサヤエンドウの写真です。支柱に寄せられたサヤエンドウ

この頃のサヤエンドウは、どんどん成長して、草丈を延ばします。

写真のように、ジュートひもなどで、支柱に沿わせるようにして誘引します。

サヤエンドウの写真です。草竹150cmほどに生長したサヤエンドウ

 

スナックエンドウの花の写真です。スナックエンドウの花(2023.4.12)

つるあり赤花絹さやエンドウと一緒に植えたスナックエンドウの花が咲きました。

絹さやエンドウとの交配が心配されますが、どのように育ってくれるか楽しみです。

サヤエンドウの実の写真です。サヤエンドウの実(2023.4.17)

 

スナックエンドウの実の写真です。スナックエンドウの実(2023.4.17)

株元の花から結実してきました。

間もなく収穫最盛期を迎えます。

【サヤエンドウの育て方:収穫】

サヤエンドウの写真です。サヤエンドウ

草丈は、160cmを超える頃、収穫も、いよいよ最盛期を迎えます。

収穫期を迎えた「サヤエンドウ」の写真です。収穫期を迎えた「サヤエンドウ」

(2023.4.26)
草丈が170㎝を超えてきました。

(画像左半分:赤花絹さやエンドウ、画像右半分:スナックエンドウ)

株元から順次、食べごろになった莢を収穫していきましょう。

収穫したサヤエンドウの写真です。収穫した絹サヤエンドウ

 

収穫したサヤエンドウとスナックエンドウの写真です。サヤエンドウとスナックエンドウ

画像の上の列はサヤエンドウ、下の列はスナックエンドウです。

スナックエンドウは、若莢わかざやの時から丸みがかっています。

サヤエンドウとスナックエンドウの写真です。サヤエンドウ(左)とスナックエンドウ(右)

 

サヤエンドウの写真です。2023.5.11現在

収穫するの3日ほどサボっていたら、なんと莢の中の豆がずいぶん大きくなってしまいました。

草丈は、2mを超えており、結実した莢の位置も、地面から1.8mの高さになっています。

今回の収穫で、今シーズンの栽培は終了です。

しかし、つるの先端部には実が付いていますので、急ぎの後作野菜がなければ、収穫量はすくないですが、収穫はまだ可能です。

サヤエンドウの絵手紙です。
絵手紙作品集を御用意しました。

よろしかったら御覧ください。
「絵手紙」作品集「自然いっぱいコーナー」

クイズの答え

正解:レタス

野菜の種は、発芽の祭に光を好む「好光性の種」があり、レタスの他に、ニンジン、セロリ、シュンギクなどがあります。

最後まで御覧いただき、ありがとうございました。

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